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市民レポーターわがまち発信隊

2020.11.07 
11月7日(土) 躍動する古代の人々・・・双葉町・清戸迫横穴壁画【10/22取材】(by錦町のたっく)

たっく1いわき市南部の植田町に事務所がある
双葉町の職員の方にお会いすると、
この様なマークが小さく印刷された名刺をいただくことがあります。

馬に乗った人物のようですが
これはどのような由来のある絵柄なのでしょうか。

双葉町教育委員会の吉野高光さんにお話を伺いました。

=この絵はどのようなものなのでしょうか
双葉町の史跡・清戸迫横穴(※1)は古墳時代のお墓ですが、
この絵はそのお墓の壁画の一部分です。
壁画にはこの他にもいろいろ描かれています。

※1 きよとさくおうけつ と読みます。「迫」の字は正確にはえんにょうなのですが
活字が無いためこの字を当てているそうです

清戸迫横穴壁画

たっく2

写真提供:双葉町教育委員会

=いつ、どこで見つかったのですか
昭和42年11月3日双葉町立南小学校の敷地造成工事中に偶然発見されました。

=いつの時代のものですか
7世紀前半ぐらい、古墳時代終末期のものと思われます。

=横穴はどの様な形状をしていますか
山の中腹に横穴を掘って作られています。
横穴の中は上から見た形が正方形で天井部分はドーム型をしています。

=壁画はどのような特徴を持っていますか
壁画のモチーフは、中央に七廻りの渦巻き、渦巻の下には狩りの風景が描かれています。
親子の鹿や猪とそれに向き合う狩人と犬が描かれています。

また、右側図面には手をかざす人物と馬に乗り走る人物が、
左側図面には、手を広げる人物と牛らしい動物も描かれています。
特に大きな人物は76cmあります。
壁画に描かれた人物としては国内最大クラスです。

これらの壁画は、横穴の奥壁に筆で赤い顔料(ベンガラ)を使って描かれています。
その重要性から発見された翌年には国史跡の指定を受けました。

双葉町には横穴が500基ほどあります。

・・・・・清戸迫横穴の壁画は動きがありとても魅力的に見えます・・・・・

=壁画にはどのような意味があると考えられますか
壁画の主題の意味は諸説あって定説がありませんが、
そのことがかえって見るものの想像力をかき立てています。

=壁画があるのは誰のお墓なのでしょうか
被葬者は豪族、または技能集団の長が想定されます。

=現在はどの様な状況ですか
横穴を観察する部屋を改修する工事が始まったとたん震災となってしまいました。
現在は非公開となっていますが、皆さんに見ていただけるよう保存施設を改修して
壁画が安全に保存できるように文化庁や県と相談しながら取り組んでいるところです。


この清戸迫横穴については、
京都で開かれた世界考古学会議で発表を求められ、
吉野さんが発表してこられたそうです。

この史跡を大切に考え、双葉町職員の方は
冒頭でご紹介したような名刺を使われたりしているのだそうです。

日本の、いや世界の中でも貴重な遺跡と言えるのではないでしょうか。

(by錦町のたっく)