蛭田まい(以下蛭田)
いわき市の子育てにまつわるさまざまなお話を伺うみんなでサポトーク。5月のゲストをご紹介します。「児童発達支援センターわくわくキッズ」管理者 新妻陽子さんです。よろしくお願いします。
新妻さん
よろしくお願いします。
蛭田
あっという間にご出演最終週となりました。1週目からいろいろなお話をしてきていただいて、発達障害をお持ちのお子さん、あとはそれに近いお子さんとの接し方だったり、たくさんお話いただきましたけども、最終週はどんなお話になりますか。
新妻さん
はい。発達障害があるとかないとか関係なく、子育てしてるといろんなことがあってですね、悩むこととっても多いと思うんですよ。
例えばだと、「うちの子、発達障害っていうようなことは一度も言われたことなかったんだけれど、学校に行かなくなったことを根拠に病院行ってみたら(発達障害だと)言われて、言われたことと学校に行ってない状態とダブルパンチで、もう私生きてけない」と泣きながらご相談に来る親御さんもいらっしゃいます。いろんなことが本当にあると思っています。
なので、余計そういういろんなことがあった時に、親御さんたちには一人で抱え込んでほしくないっていうのが今日の話になります。
相談しましょうよって言っても、どこに?ていうのは、とってもね、悩ましいんです。
蛭田
そこです。これだけインターネットとかが発達して、相談場所って、ネット上にもあるかもしれない、行政とかにもあるかもしれないんですけど、でも、うちはどこに?って。
新妻さん
そうなんですよね。なるんですよね。だから、そこがまず、多分一番困り事なんだろうなって思っています。
だから、まず最初。母子保健事業っていう事業が日本にはあります。生まれたら、健やか訪問でしたっけ、家庭訪問していただけるじゃないですか。そこから始まって、1歳半検診、3歳健診。いわきでは3歳半ぐらいに健診を受けるんですけれども、こういう健診をしてくださっている保健師さんたちは、母子保健法っていう法律のもとでこの事業を展開されています。なので、まずはこの状態があって、どこに相談していいかわかんないんですっていう時に一番番身近なのは保健師さんだったりするでしょうかね。
あと、いわきだと子育てコンシェルジュさんがいらっしゃるので、どこに相談していいかわからない相談みたいなのもあっていいと思ってるんです。
蛭田
そうですね。
新妻さん
うん、どこにどうしていいかわからないってなるじゃないですかね。
で、例えば学校に通っている方だとしたら、今、いわき市では不登校のお子さんのサイトなんかを作って、情報が色々載ってたりするんですけれど、教育委員会の中に、健やか教育相談とか、各種、こういう状態だったらここで相談受けてますよっていうのが教育委員会のホームページに載っているので、学校の相談はそういうことでできます。個人の情報は守秘義務で学校に言わないっていうのがまず鉄則なので、学校にバレるの嫌だって思ったりすること多かったりするので、その辺はご心配なく相談できると思っています。
蛭田そうなんですね。
新妻さんで、いや、うちの子まだ幼稚園、保育園で。とかっていうことならば、最初の回にお話させていただきましたが、いわきには児童発達支援センターが三か所あるので、ここで子育て相談を承ってたりします。
なので、まず、どこに相談していいかわからなくて困ってるって話はよく聞くので、この辺の探り方は、いわき市にあるものをまず使って、その先セカンドオピニオンっていう考え方があってもいいかなと思っていて。
蛭田
そっかそっか。
新妻さん
この人に相談したけど、なんか腑に落ちないから、同じことを同じような分野の他の立場の人に聞いてみようかな、みたいな。その辺はお母さんたちが賢く聞いてもいいし、色々聞くと迷っちゃうからそれはしないって思われるんなら、それはそれでいいでしょうかね。
蛭田
そのお母さんの思うように、もっと聞きたかったら、もちろんいろんな 方とお話したらいいし。
なるほど。じゃあ、まずはいわき市を頼ってみて、そこから新妻さんのところや、いろんなところに(頼ってみる)っていうところですかね。
新妻さん
いわき市には無いですが、福島県には発達障害者支援センターっていうのが郡山の療育センターの中にあります。ここの電話相談は幼児さんから成人の方まで色々。
蛭田成人まで。
新妻さんそうです。私のところに来た相談で、お母さんが子供のことで発達障害のいろいろなことに気づいたら、ひょっとしたら私もじゃないかと思いますっていうご相談もあったり、うちの旦那そうじゃないかしら?とかあったりするので、そういうご相談を、発達障害者支援センターでも。そこが逆に言ったら専門っていうかね、相談乗ってくれるんですけど、私のところに相談してもいいよって。子育てしているお子さんの相談は、ご家族全部含めて相談だよってお話をさせていただいたりしています。
蛭田
そんなまるごと相談に乗っていただける場所も福島県にはあるんですね。
新妻さん
そうです。
蛭田
例えば、お母さんが「ちょっとこの子育てにくいなって感じた」とするじゃないですか。(理由の一つが)自分だった可能性があるかもしれないですね。
新妻さんそうですね。
蛭田もしかしたら、そう感じやすい、何かの障害を持っている可能性もあるってことで。でも、それに気づけたことで、やっぱり腑に落ちて、「あ、なるほど。じゃあ子どもとの関わりをこうしていこう」っていう風に解決策が見つかったりもしますよね。
新妻さん
そうです。そういうことなんです。
私がご相談を承って、全部私が1人で解決するわけじゃなくって、さっき言った通り、この問題っていうか課題があるとしたら、この方に相談するといいよっていうことで、次の方にご紹介する。必要があれば、私も一緒にその人のとこに行くっていうこともしています。
結局、相談していいよって言って相談できない方の悩みは、顛末が色々あるんです。エピソードがいっぱい長くて、1人の方にやっと一息で相談して説明したら、また同じことをほかの人に(相談し直す)とかっていうの、切ないんですよね。
うん。だから、その辺は伴走者ていうか、共に歩んでいくためには、入り口のところお手伝いとかしてますので。
蛭田
そんなことまでしてくださるんですね。
新妻さん
うん。でも、大抵福祉の人はそんなことしてますよ。
蛭田
そうですか。
新妻さん
はい。なので、そんなふうに相談することが、「こんなこと言ったら笑われる」とか、「こんなことを悩んでる私がなんかいけないんだ」みたいなこと思われる方結構おいでなので、そんなこと思わずに相談していいんだよってことを今日はお伝えしたいなと思っていました。
蛭田
やっぱり相談できずに困って悶々と悩まれてる方もすごく多いと思いすね。きっと子育てしてたら何かしらの悩みって絶対出てきますよね。
新妻さん
そうなんです。
蛭田
そんな時にこうやって相談ができて、必要があればその先に繋いでいただけたりっていう道ができるってなると、もうとても心強いです。
新妻さん
良かったです。今、ネットもね、いろんな情報があるので、そこで解決できるんであれば、私はそれを否定する気はさらさらないんです。
ただ、ネットの世界は自分の目の前にないので、話を聞いてもらったり、他の方の経験を参考にするっていうことでどうしても完結せざるを得ないので、そっから先はやっぱり目の前にいる人とどう繋がるかってなると、いわき市内にあるものを是非ご活用いただきたいですね。
蛭田
そうですね。ほんとにね、親御さんもそうですが、お子さんも2人として同じ子いないので。
新妻さん
そうです。
蛭田
いい個性がたくさんあるでしょうから、なんかあったら場所があるよっていうことを。
新妻さん
そうなんです。
蛭田
ラジオ聞いてる皆さんに伝わっていたら、私も嬉しいなと思います。
新妻さん
はい。私もとっても嬉しいです。そこが繋がったら。
蛭田
そうですよね。
新妻さんには、今月1ヶ月にわたって、ほんとに貴重なお話していただきました。
もっともっと、本当は多分あと3ヶ月ぐらい聞いていきたい。でも、またいつか機会があったらお話を。
新妻さん
そうですね、機会があれば。
蛭田
はい。皆さん困った時はね、ぜひ相談をしていただきたいと思います。
では、最後にですね、リスナーの皆さんにメッセージいただけますか。
新妻さん
はい。この放送をお聴きの方が親御さんだけではないと思っています。今回初めて発達障害っていうことを少しだけど聞いたとか、あとは、子育てはしてないけど、自分が生きていくのになんか違和感があって悩んでいるとか、子育てしてて、やっぱり我が子の育て方に悩んでいるとか、いろんなことがあると思うんですが、私は色々な方にお話ししているのがですね、「今自分がここにいること、今いるんだというこの事実をもってして、まず初めの一歩はオールオッケー」だと思っているんです。
これができないとか、あれができるようになりたいって思われる気持ち、非常にわかるんですけ。でも、いるだけで自分が気づいてないけどできてることってあるんですよね。
「これできてますね」なんてお話しすると、「いや、そんな当たり前のこと言わないでください」って言われちゃうんですよ。
でも、当たり前のことができるって結構簡単そうで簡単ではない。朝起きて、自分の足で起き上がって顔洗いに行ってご飯食べるっていうことが難しいハンディキャップを持ってる方も、私
結局福祉の世界にいるので存じ上げているし、だから本当に居るっていうことをまず一歩オッケーにしていただきたくて。
だとすると、親として今ここにいることもオッケーなんですよね。
子育てって、赤ちゃんを産んだ経験がある方はご存じかと思うんだけど、産んでおぎゃあおぎゃあ泣いてる時、世界で1番可愛いのはこの子って思うんです。
蛭田あー、そうですね。
新妻そして、「え、すごくない?この子ミルクこんなに飲めるの」とか、「あ、こんな笑える子ほかにいないよね」とか、「うちの子首座ったの天才じゃない!」とか、これってつまり、毎日できたできたって褒めれる(点数を)加算する方式の子育てなんですよ。
それが、どこかでですね、「私の友達の子、ほぼ同い年なのに、こんなことできて、うちの子は出来ないわ」っていう、できないところに目が行き出すと、減点していくしかなくなるんですね。
減点方式の子育てからは何も生まれないんですよ。
皆さん、絶対加点方式の子育てを経験されているので、ぜひそれを思い出していただいて。
そしてご自身も、こんなお母さんになりたいって目標はいいんですけど、「こんなお母さんじゃない私がダメだ」みたいなダメ出しをせずにですね、もう毎日親子でいるというこの事実を、ああ、これが素晴らしいことなのかと思っていただけたら、私はありがたいなって思っています。
「なかなかそんなかっこいいこと思えません」って言われたこともあるので、この考え方も難しいのかもしれない。そういう方もおいでなのかもしれないけれど、でも、どこかでこれは真実だと思っていますので、今苦しいことが目の前にある方は、そこから無理に這い出そうとせず、川の流れに乗るっていうのもすごく大事。流されてみるのも大事なんです。どこかには行き着くんですね。で、行き着いた時に、「まだ私はここに居た。居たからオッケー」だって思っていただけたら、それでありがたいなって思っています。
子育てはとっても長い旅ですから、ぜひ、その旅の中で、流されるときはもう川に流れちゃって。逆らって泳ぐ力があるときは逆って泳いでいただいて全然オッケーなんですけれども、力がない時は無理せずに流されて、そして、どこかで振り返れる時に、私はここにいるだけでオッケーと。我が子もこの状態でオッケーと思う。「居る」ということが素敵、素晴らしいというような子育てをしていただけたらありがたいです。
そして、もう一度繰り返しになりますが、苦しい時には、ぜひ周りの人にご相談いただいて、『一人で抱え込まない子育て』そんなことをしていただけたら嬉しいなと。
蛭田
素晴らしいメッセージ、ありがとうございました。聞いている方の心が軽くなっていただけていたらいいなと思います。
今月1ヶ月ありがとうございました。
みんなでサポトーク。今月は、「児童発達支援センターわくわくキッズ」管理者 新妻陽子さんにお話を伺いました。ありがとうございました。
新妻さん
かえってこちらこそありがとうございました。
<終わり>