蛭田
いわき市の子育てにまつわる様々なお話を伺うみんなでサポトーク。
今月のゲストは「特定非営利活動法人 ままはーと」理事長の笠間真紀さんです。よろしくお願いします。
笠間さん
よろしくお願いいたします。
蛭田
先週はこの「ままはーと」設立のきっかけだったり、そういったことをお話伺ってきましたけども、今回は笠間さんが活動にあたって心がけていることについてお聞きしたいなと思います。まず「ままはーと」の場所はどちらにありますか。
笠間さん
はい、下好間にあって、叶田団地入口っていうバス停のところにあります。
蛭田
私、好間をあまり知らないんですが。平から向かっていくと、ダイユーエイトさんまでいくと行き過ぎになりますかね。
笠間さん
セブンイレブンまで行ったら、行き過ぎですね。
蛭田
割と平よりですね。
笠間さん
そうです。すたみな太郎さんよりちょっと先。
蛭田
じゃあ、本当に、平のその先ぐらいにあるんですね。
この「ままはーと」さんなんですけども、どういったお子さんが通ってらっしゃいますか。
笠間さん
はい。「ままはーと」は「どりーむず」っていう名前の事業所を運営してるんですけれども、そちらには、重症心身障害児のお子さんたちを対象に、未就学の児童発達支援ですね。0歳から年長さんまでと、放課後等デイサービス。(小学)1年生から高校3年生までと、高校卒業した後、生活介護の大人の方も切れ目なく通っていただけるような施設になってます。
蛭田
生まれてから大人になるまでという、まさにつなぎ目ですね。
笠間さん
そうですね。やっぱり皆さん、学校上がる時どうしようとか、学校卒業するときどうしようっていう風にすごく悩まれる時期があるので、そういう心配が少しでも減るように、切れ目なく通っていただけるような体制にしてます。
蛭田
そうなんですね。親御さんも安心できますし、ご本人にとってもすごくいい居場所という感じになりますね。現在は、何名ぐらい通ってらっしゃいますか。
笠間さん
そうですね、今30人くらいご契約はいただいてるんですけれども、うちの1日の定員が7名ぐらいで受け入れしているので、これ、月曜日は何々さんと何々さん、火曜日は何々さんとっていう感じで、週1回の子もいれば、週5回の子もいるっていう感じですかね。
蛭田
契約によってというか、それで通われてるんですね。
ということは、スタッフさんって結構いらっしゃるんですか。皆さんで見ているような感じ。
笠間さん
今40人はいまして、やっぱり重度の障害を持ったお子さんたちですし、気管切開の吸引だったりとか、様々な医療的ケアが必要なお子さんも多く通われているので、看護師だったりリハビリだったり、専門のスタッフも多く配置しないとならないので、スタッフはかなり充実してるかなと。
蛭田
そうなんですね、医療的なケアが必要な子がやはり多いですか。
笠間さん
そうですね、半分ぐらいですかね。
蛭田
そういったところに通われて過ごしているわけなんですね。
大変なケアをしなきゃいけないお子さんもいらっしゃる中で、笠間さん自身が心がけていること、どんなことがありますか。
笠間さん
私は、『障害児を特別扱いしない』っていうことですかね。
蛭田
どうしても、「どう声かけよう」っていうのを、私自身も1回立ち止まっちゃいますね。考えてしまいます。
笠間さん
そうだと思います。私も、例えば息子を連れて受診とかに病院とか行くと、1~2歳ぐらいの、色んなのに興味津々な子は近づいてきて、「どうしたの?」って聞かれたりするんですよね。うちの息子も寝たきりで、医療的ケアも多いので、そういう時に私が話そうかなって思うと、(その子の)お母さんが「聞いちゃだめよ」とか、「だめだめ、こっち来なさい」とか。
蛭田
そうなんだ。
笠間さん
結構あるあるというか、うん、そういう聞いてもらっていいのにな、なんて思う時もありますけど。
でも、私自身も振り返っても、なんて言うんでしょう、福祉の学校を出て、福祉の勉強して、っていうタイプじゃなくて、全然違う仕事をしていて、私は接客業が長かったので。ある日突然息子が生まれて、障害児の母になるっていうところだったので、右も左も分からず、「障害児生まれて今からどうしたらいいんだろう」っていう、真っ暗闇を歩いてた時期もありますので。聞きにくい周りの方の気持ちもわかりますし、言いにくいこちら側の気持ちもわかるしっていう。そういうところもありますね。
だから、「何の障害なの?」とかはなかなか聞きにくいと思うんですけど、「何歳なんですか?」とか。私たちも、ママ友のスタートってそういうとこじゃないですか。
蛭田
そうですね、何歳ですか。とか。
笠間さん
「なんか可愛い洋服ですね、どこで買ったんですか?」とか。そんな感じですね。そういうとっかかりがあると話しやすいのかもしれないですね。
蛭田
そっか、それでいいんですね。やっぱり、普通にざっくばらんに話しかけない方がいいのかなって思ってしまう部分も、どうしてもあって。
でも、そんなことなく。
笠間さん
私、結構、「障害児のお母さんらしくないですね」って言われることが多くって。じゃあ障害児のお母さんらしさってなんだろう、ってすごい考えちゃうんですよ。
じゃあ、「あなたが思うその障害児のお母さんらしさって何?」ってやっぱり思っちゃいますよね。
そうすると、自分の身なりとか自分の好きなことはもう脇に追いやって、子供命、みたいな。子供のために、自分のことは全て投げ打って生きてるのが障害児のお母さん像なのかな。ちょっと不幸そうとか、ちょっと辛そうとか、そういうところを求めてくるのかな、って思っちゃうような時もありましたけど。
でも、私、うちのスタッフだったりとか、いろんなお母さんとかに、「~べき」って言葉はもう断捨離しちゃおうって言っていて。「お母さんってこうあるべき」とか、「妻はこうあるべき」とか、逆に言えば「夫はこうあるべき」とかって、絶対辛くなっちゃうから。
蛭田
なんか苦しめますよね。その空気ってやっぱり怖い。
笠間さん
はい。障害児のお母さんはこうあるべきみたいな、皆さんが思う像に自分を当てはめなくてもいいし。
お母さんがやっぱり笑顔でないと、子供も辛いし。
蛭田
そうですね。
笠間さん
私たちもそうですね。自分の母が辛そうに育児してたら申し訳ないなって。
蛭田
思っちゃいます。子供って敏感ですからね。
笠間さん
はい。大変なこともあるけど、育児を楽しめるっていうか、そういうお母さんだと、きっと子供もウキウキするだろうし。だから、そういう世の中に、というか、全ての方じゃないにしても、障害時のお母さんらしさみたいなのを求める見えない力は気にせず、自分らしさでいいと思いますし、だから、周りの地域の皆さんも、障害児のお母さんって見るんじゃなくて、子育てしてるお母さんとして見ていただけると、自然な会話が生まれるかなと思います。
蛭田
双方にとっていいですね。普通に、お母さん同士でお話をするっていう感覚でいいんですもんね。
勝手な像が出来上がってしまったこの世の中と言いますか、1回これは取っ払いたいですね。
笠間さん
そうですね。
蛭田
なるほど、ありがとうございます。
今週もお時間が来てしまいましたので、この辺で失礼したいと思います。
みんなでサポトーク。今日は、「特定非営利活動法人ままはーと」理事長 笠間真紀さんにお話を伺いました。
ありがとうございました。
笠間さん
ありがとうございました。
蛭田
来週もいろいろなお話伺います。どうぞお楽しみに。
<終わり>