蛭田
いわき市の子育てにまつわる様々なお話を伺うみんなでサポトーク。
今月のゲストは「特定非営利活動法人 ままはーと」理事長の笠間真紀さんです。よろしくお願いします。
笠間さん
よろしくお願いいたします。
蛭田
このコーナー、「子育てひろば」ということで、子育ての視点からお話を伺う時間なんですが、ままはーとさんでは、親御さん・お子さんとどのように関わっているかをお伺いしていきたいです。
笠間さん
ありがとうございます。
そうですね、まず、どうしても障害児って、先回りして、危なくないように守られがちって言いますか。転んだら危ないとか、例えば調理実習とかよくやるんですけど、包丁とか、そういう切れるものですよね。持ったら危ないからやらないとか、ちょっと高いとこからジャンプしたら危ないからやらない、とかっていう風になりがちなんですよね。
あと、お父さん、お母さんたちも、すごく、言葉……あれかもしれないですけど、不憫に思ったりとか、かわいそうとか、私がこういう風に産んじゃったから私が守ってあげないと、とかっていう思いがやっぱり強く、特にお母さんは強いかなっていうのは思っていて。そうなると、すごく過保護になるんですよね。
蛭田
ああ。
笠間さん
心も体もこれ以上傷つけたくない、自分も傷つきたくないですし。だから、すごく……なんて言うんでしょうね、一歩踏み出す勇気を持てなくなるっていうか。怪我したらどうしよう、具合悪くなったらどうしよう、また入院したらどうしようとか思ってしまって、なかなか外に出せないとか。
そうすると、お子さんたちの世界がどんどん狭くなりますし、お母さんたちも子供(だけ)ってなっちゃう。
例えばですけど、「私が食べさせないとご飯食べないんです」とか、「私が一緒に寝ないと寝ないんです」っていうご相談とかよくあるんです。だから、他に預けられない。だから、私が見ないとダメっていう子なってしまって。でも、困ってるって言っても、若干嬉しそうみたいな。「あたしがいないとダメなんですよね、この子」みたいに。
蛭田
そっか。
笠間さん
でも、それ、お母さんがいないとダメな子に育てたのって、お母さんですよね。って、私、ズバリ言っちゃうんですけど。
蛭田
言っちゃうんですね。
笠間さん
はい。そうするとお母さんはハッてするんですけど。
1歳が2歳に、2歳が3歳に、それが小学生になり、それが20歳になりってなった時に、お母さんがもし病気とか交通事故とかそういうので急にいなくなっちゃうってこともあり得ますから。
障害がない子、いわゆる健常(児)のお子さんを育ててる時って、いつの日か学校を卒業したら就職して自立していくっていう方向に向けて子育てしていきますよね。
蛭田
そうですね。
笠間さん
でも、障害児は守られがちなんですよ。一生私が見ないと、とか。それって私は差別だと思うんです。この子は障害があるから自立できないとか、この子は障害があるから、私が見ないと、一生見ていかないとならないっていうのは、その子の、障害がある子のチャンスとかも奪いますし。お母さんが思ってる以上にもっとできるし。だから、その子の力を信じて、いろんなことをやらせてあげるっていうのは、障害があってもなくても一緒かなって思いますし、その一歩踏み出す勇気を、私たちが背中を押すというか、そういう立ち位置でありたいなと思うんですよね。
私たちがレッドカーペットを敷いて、はいこっちの道ですよ、こっちが安全ですよってやるのではなくて、転んだりしながらも、転んだら立ち上がる力をつけるとか、うまくいかなかったらまた違う方法を一緒に考えるっていうのが一番私たちが大事にしてるところですね。
蛭田
これは子育てしてるお母さん、お父さんみんなに言えることだなと思って、聞いちゃいました。
笠間さん
私たちのようないわゆる支援者側もそうだと思います。お預かりしてるんだから怪我させちゃダメとか、お預かりしてるんだから大事に大事に、危ないよ危ないよみたいな。守ってばっかりいて、先回りして全部やってあげるのがその子の幸せではないと思ってるので。
蛭田
子供って好奇心旺盛だから、ジャンプしてみたいとか、先ほどおっしゃった包丁、絶対持ちたいじゃないですか。
笠間さん
持ちたいですよね。
蛭田
近くで見守ることは大事ですけども、ほんとに危ない時は入った方がいいですけども、やっぱりやらせてあげるっていう、その一歩ですね。
笠間さん
こういう風に持ったら危ないとか、それは教えるのはもちろんなんですけど、あと、一緒に楽しむっていうか。私の一番下の息子が今小6なんですけど、やっぱり料理とか結構好きで一緒にやるんです。最初は私も、脇汗をかきながら隣で見てるみたいな感じですよ。今はね、カレーぐらいは1人で作れますし。
蛭田
うん。見守った結果、そうなりますもんね。
笠間さん
そうすると、何がいいことになるかっていうと、自分が楽になるんですよ。カレー作っといてったら、はい、って言って(作る)。
蛭田
子供はそれが楽しいんですもんね。僕作れた、私作れたって。
笠間さん
はい。自分の役割として頼られたら嬉しいじゃないですか。子供扱いばっかりするんじゃなくて、子供も一人の人間なので。「あなたがいないと私がお母さんを生きていけないの」ってのはダメですよ。それは全然ダメですけど、あなたの成長が楽しいって。
蛭田
うーん、そうなると、ほんとにお互いが楽しめますね。子供も楽しい。お母さんも楽しい。
笠間さん
そうなんじゃないかなって思うんですよね。
蛭田
その先の心配をするのはやっぱり余計。
笠間さん
そうですね。あの先を見すぎて心配するのはちょっと無駄っていうか。私たち親は、出産したから親になるわけじゃないので、その子供に親にしてもらって、だんだん強くなっていくから、うん、子供にも感謝しつつ。
蛭田
ほんとですね。
笠間さん
でも、ダメな時はダメなので。オンオフ、みたいな。
蛭田
人間やっぱりね、オンとオフはありますから。落ち込むときは落ち込んで、また復活すればね。
はい、ということで、子供も楽しく、お母さんも楽しく見守るっていうことを大事にされているんですね。
これはほんとに、世のお母さんみんなに伝えたいお話だったんじゃないかなと思います。
今週もあっという間にお時間が来ちゃったので、この辺で失礼したいと思います。
みんなでサポトーク。今日は、「特定非営利活動法人ままはーと」理事長 笠間真紀さんにお話を伺いました。
ありがとうございました。
笠間さん
ありがとうございました。
蛭田
来週もいろいろなお話伺います。どうぞお楽しみに。
<終わり>