写真は田人町横川にある「草木山荘」の玄関部分です。

草木山荘は田人町横川、四時川沿いにあり
１１月下旬に伺った際には紅葉が見事でハイカーたちの姿もちらほら見かけました。
玄関には土間があり、木の床には囲炉裏がしつらえてあり、釣り竿や昔の道具類が見えます。

こちらは「草木山荘」の主、志賀村文男さん秀子さん夫妻です。

写真を撮ったのは１１月下旬。
お二人の後ろで紅葉しているのは収穫が終わったブルーベリーです。
この草木山荘について志賀村さんご夫妻にお話を伺いました。

ここはどんなことができる所ですか？
「６月中ごろから７月いっぱいブルーベリーの収穫ができます。
うちは食べ放題とかではなく入園料もいただきません。
　収穫していただいた重さで販売しています。
その後召し上がるかお持ち帰りになるかは自由です」

「またブルーベリージュース（税込み１３００円）、
ブルーベリージャム（税込み６００円）、
日本ミツバチの百花ミツ（４５０グラム入り税込み３０００円）を販売しています。
ハチミツは１０月から１２月いっぱいぐらいまでとなります」

左　蜂の巣　口に入れて蜜を吸う　　右　ブルーベリージュース・ジャム。ハチミツ

いつから始められたのですか？
「私は６８歳までサンマ漁船の漁労長でした。
長く海の上にいたので今度は山で仕事がしたいと思い、１３、４年前にこの場所を手に入れ、
古い家も使えるようにしてわさびの栽培を始めました。
ですが夏場の水温が上がりすぎて いいわさびをとることができなくなりました。
自分で食べたり友だちにあげたりするのに ブルーベリーを栽培したのですが
　たくさん木を増やして収穫もふえ、友だちなどに『売ったら』と勧められて
販売もするようになりました。
　さらにいわき市内あちこちに日本ミツバチの巣箱をしかけ、
ミツがとれるようになりハチミツの販売も始めました」

・・・このハチミツがおいしい。
さらりとしていてかすかな酸味があり口に入れるとたくさんの花の香りが鼻から抜けます。

左　日本ミツバチの巣箱　右　巣箱の中で冬越しするハチ・密着しぶんぶん羽根を震わせている

日本ミツバチについて少しうかがってみました。

どのような花のミツを集めているのですか？
「日本ミツバチは西洋ミツバチと違って
例えばアカシアなど１種類の花のミツだけを集めるというのではなく
あちこちの様々な種類の野生の花のミツを集めてきます。それで百花ミツと言われます」

日本ミツバチが花のミツを集めるのはいつからいつまでですか？
「４月頃から９月いっぱいぐらいまでです。
ミツバチが集めたミツを １０月ぐらいになると人間が集めるというわけです。
ミツバチは巣箱で冬越しします。
ミツを全部取り上げてしまってはハチが生きられなくなりますので
冬越しできるぐらいのミツは残しておきます」

・・・西洋ミツバチのミツを遠心分離機でしぼる様子をテレビなどで見ますが
日本ミツバチの巣は繊細なので遠心分離機にはかけられず
蜂の巣を平らにして ミツが下に落ちてくるのを待つので、手間と時間がかかるのだそうです。

１巣箱に１女王蜂ですが女王蜂は引っ越すと聞きました。引っ越しはどのように行われますか？
「女王蜂は 春先にたくさんの働き蜂の他に 新しい女王蜂を産みます。
自分の娘である新しい女王蜂のために半分の働き蜂を残し、
もう半分の働き蜂を連れて女王蜂は引っ越します。春先は３回ぐらい分蜂します」

その引っ越し先はどうやって決めるのでしょう？
「それがとても大切なところで、女王蜂が巣箱に入ってくれればミツがとれますが
来てくれなければとれません。
女王蜂に巣箱に入ってもらえるようにするにはコツがありますがここが企業秘密です」

志賀村さんはにっこりしました。

震災後には放射線が気がかりで２、３年ハチミツの線量検査もしてもらい、
結果はどの回も不検出だったということです。
また、ハチミツは毎年 保健所の細菌検査も受けて、合格となっているとのことです。

草木山荘

住所　いわき市田人町旅人字横川１４７
電話　０２４６－６８－３２００
営業日
１２月の日中はほぼ営業しています。
お越しになる時はあらかじめ電話をいただけると助かります（不定休）
行き方
国道２８９号線を勿来方面から鮫川村方面に進み
田人町辺栗トンネルをくぐり抜け「四時渓谷方面」の案内板がたっているところで左へ入る。
細い山道をくねくねと曲がりながら進むと山の頂上付近に到達する。（トイレがあります）
さらに進んで今度は山をくねくねと下り降りきったところで右折。
道なりに進み橋を渡り杉林の中を進むと右手に横川発電所が見える。
さらに進んですぐのところで道が二手に分かれるが、右側に進み５００メートルほど先の右手。
あちこちに「草木山荘」の案内板があり目印になっている。
駐車場
草木山荘入り口から１０メートル程上がって左手

たっくの脇道情報

草木山荘は田人の山の中にありますが
大震災の際には湧き水に恵まれ食料もあり電気も止まらず
さらにはご近所の黒電話が使えたということで１０人ほどの方たちが避難していらしたそうです。
山の中にある家の持つ能力の高さにびっくりしました。

ｂｙ.たっく