1月から3月と受験シーズン真っ只中
そんな中「だるまさんに願掛けを」という方もいらっしゃるのでは？
今回はいわき市でただ一つ「いわきだるま」を製作する高橋工房さんへ伺いました。
高橋工房は、最近開業して話題の施設、平六町目の「Paix Paix（ペッペ）」近くにあります。

工房ではいわき市無形文化財で有名な「いわき絵のぼり」の他、手描き鯉のぼりも受注制作しています。
だるまさんといわき絵のぼりがずらりと並んでにらみを利かせている工房でお話を伺いました。

工房の歴史について教えてください
「初代は高橋興平（よへい）で詳しくはわからないのですが
開業してから百年以上、百十年近くになるようです。
　現在は３代目の謙一郎（けんいちろう）と妻の淳子（じゅんこ）、
　４代目の聡一郎（そういちろう）の３人で制作しています」

左　いわきだるまと高橋工房３代目高橋謙一郎さん・妻の淳子さん　
右　私が購入した８００円のいわきだるま（下から２番目のサイズ）

いわきだるまにはどのような特徴がありますか
「顔を縁取る群青（ぐんじょう）色は太平洋・いわきの海の色です。
そこに白い柄があります。
これは波しぶきを表しています。
そして特徴として目が入っています。
これは見通しが良くて見守る目という意味があります。
にらみを利かせて守ってくれるというものです。
ほかに受験や選挙、スポーツでの勝利など願い事のためのだるまもあります。
こちらには目が入っていません」

いわきだるまはどこで売られていますか
「昔から平、四倉、湯本、小名浜、江名」などで神社などのお祭りの時などに
販売しています。それとこちらの店です」

価格について教えてください
「小さいもので５００円から。
大きくなると３２，０００円まで。
２１種類あります」

写真は絵のぼりと制作者の高橋聡一郎さん。
後方に見える墨絵の鍾馗様の絵のぼりは、ほかの絵のぼりよりもコンパクトなサイズ。

いわき絵のぼりについて教えてください。
いわき絵のぼりにはどのような特徴がありますか
「大きいもので幅８５cm長さ４ｍ８０ｃｍです。
旗竿にさして外に立てるほか、平らな布なので半分に折って室内に飾ることもできます。
外で風に揺れるものなので表だけでなく裏にも彩色しています。
面積のある背の高い上りになるのでしっかりした支柱が必要です。
絵柄は昔の武将などに題材をとった色彩豊かなものです。
のぼりの上部には家紋が付きます。
華やかで見栄えがする割には布なのでたたむことができ、
しまうときは場所を取りません。
さらに、最近の住宅事情を考えて小型のものも制作しています

いわき絵のぼりの工房は、うち以外に何軒かあります。
いわき市の無形文化財に指定されているのは、いわき絵のぼりを制作する技術そのものです。
ほかに福島県の伝統的工芸品にも指定されています」

伝統工芸品を制作していく上で現在どのような問題を感じていらっしゃいますか
「まず景気ですね。
東日本大震災も大変でしたが、新型コロナの流行はさらに大変でした。
祭りが中止になってしまったので出店できませんでした。
また、規模を縮小した祭りで出店できてもお客さんがあまりいませんでした。
今年など以前のようなお祭りが復活しても、お客さんが減っているように見えます。
コロナの影響は今も続いているのではないでしょうか。
さらに、最近の住宅事情です。
最近の家はコンパクトで洋風の家が多い。
いわき絵のぼりなどを立てるスペースがなかったりします。
絵のぼりは半折にし上半分にある家紋を裏側に織り込み色彩豊かな絵の部分が見えるようにして飾るとまた素晴らしいのですが飾ることのできるスペースがなかったりします。
いわき絵のぼりは子どもの成長を願うものですが、
少子化で子どもが減ってしまっており需要が伸びません」

・・・いわき絵のぼりも、手描き鯉のぼりも、いわきだるまも
人の手から生まれる、美しく華やかないわきの特産品です。
これからもずっと残っていってほしいと願ってやみませんが
願いをかなえるためにどんなことをすればいいのだろう。
考えさせられました。

高橋工房

住所：いわき市平正月町１－７
電話：０２４６－２３－４０７７（FAX兼）
休業日：土曜日・日曜日
（店で制作していますのでお急ぎの場合は対応できます。
御用の際はお電話いただけますと助かります）
営業時間：午前８時３０分から午後５時ぐらいまで
駐車場：店の前

高橋工房のホームページは…いわき絵のぼり高橋工房 (takahashikoubou.jp)

（ｂｙ.たっく）