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市民レポーターわがまち発信隊

2023.01.28 
1月28日(土)『いわきブルーのバックに白く浮かび上がる古代のモチーフ 双葉町の文化財といわきの土との出会い…常磐白水焼』(by.たっく)

画像1

 

写真はいわき市田人町で唯芳窯を開いている山﨑淳司さんの作品です。
底辺約10㎝高さ約5㎝の銘々皿です。

茶事などに使用される物だそうです。

表面に象眼(ぞうがん)と言う技法で浮き出ている白い形は
双葉町の文化財である清戸迫(きよとさく)横穴壁画のモチーフを使用した物です。

この文化財については、このコーナー2020年11月7日掲載
「躍動する古代の人々・・・双葉町・清戸迫横穴壁画」でお伝えしましたが、
古代の人々の生き生きとした姿が描かれています。

また「常磐白水焼」については2014年12月17日同じくこのコーナー掲載の
「親切でおしゃれな器・・・田人 唯芳窯」でお伝えしています。

双葉町の文化財であるこの壁画に魅了された山﨑さんは
作品に取り入れようとチャレンジを始めたそうです。

使われているのはいわきの土。
この土の粘土層はは山﨑さん自身が発見した物です。

近年様々な焼き物の産地で陶土の枯渇が問題になっています。
そんな中、いわきで陶土として使える新たな粘土層を発見したことは山﨑さんの功績と言えましょう。
山﨑さんはさらにこの土を使ってどうしたら美しい作品を作れるかを研究し
写真のようないわきブルーを生み出す技法をあみだしました。

双葉町の文化財といわきの土、この2つが出会ったことで魅力的な器が誕生しました。

画像2
こちらは上の作品と同じ図柄を使った
縦横約10㎝の角皿です。

上下どちらの絵にも
犬が登場していますが
清戸迫横穴遺跡の壁画には、人々の狩りを手伝って
獲物を追い詰めているように見える
犬の絵が描かれています。

白く溶けた釉薬の下から
粘土の色が透けて
ブルーに見える技法を編み出した
山﨑さんはこの色を
「いわきブルー」と名付けました。

同じ形のものでも ブルーや白の濃さや色合いが微妙に変化し ムラができたりすることで
それぞれに違ったけしきを作り出しています。

作者の山崎淳司(やまざきあつし)さんは、
水戸出身で笠間窯業指導所(現茨城県立笠間陶芸大学校)で研究生として学び那須で独立。
その後、焼き物に適した土を見つけたいわきに2007年に移ってきたそうです。

銀座の資生堂ギャラリーで個展を開催するほど作品が高く評価されていた山﨑さんですが
那須からいわきに移ってきたのは、
「白水阿弥陀堂を見に行こうと思って行ってみたら近くに炭鉱資料館があり
ちょっと寄って見たらそこで石炭の層と一緒にある陶芸に適した土の層を見つけた」
ということなのだそうです。

震災や原発事故があったものの山﨑さんは
「地元の土を使って地元で作った作品」にこだわり田人で陶芸を続けておられます。

最近では陶芸の盛んな栃木県の2018年・県美術展で
最高賞である文部科学大臣最優秀賞に選ばれています。

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唯芳窯の紹介
住所 いわき市田人町南大平字原口4-4
電話 0246-69-2308
営業時間 10:00~17:00
定休日 木曜日

(ルート)
国道289号線を勿来方面から山側に向かって走り、
四時トンネルを抜け右手にあるしどきの森(食事処)を通過後
坂を上りきってから少し下って右手。
旧田人二小南大平分校入り口より200メートルほど手前

(by.たっく)